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水泳部活でタイムを伸ばす!陸上&水中トレーニングの基礎と実践

部活動で水泳に打ち込んでいるけれど、なかなかベストタイムが出ずに悩んでいる方は多いのではないでしょうか。あるいは、お子様が一生懸命練習しているのに結果が出ず、家庭でどのようなサポートができるか知りたいと考えている保護者の方もいらっしゃるはずです。

水泳は単に距離を長く泳げば速くなるわけではありません。正しいフォームを維持するための身体作りと、目的を持った水中練習の組み合わせが重要です。毎日の練習に少しの工夫と知識を加えるだけで、数ヶ月後の結果は大きく変わります。

この記事を読むと分かること
・タイムが伸び悩む原因と練習に対する意識の持ち方
・自宅で今日から始められる効果的な陸上トレーニング
・部活の練習効果を高める水中メニューの組み立て方
・パフォーマンスを最大化する食事と休息のポイント

タイムが伸び悩む原因は練習の質と意識にある

毎日部活に参加して泳いでいるのにタイムが上がらない場合、練習の「量」ではなく「質」に課題があるケースが大半です。まずはトレーニングの全体像と目的を整理した以下の表をご覧ください。 トレーニング区分 主な目的 期待できる効果 陸上トレーニング(陸トレ) 基礎筋力の向上・可動域の拡大 フォームが安定し、後半までバテない身体を作れる ドリル練習(水中) 技術習得・フォーム改善 水の抵抗を減らし、効率よく進む泳ぎが身につく インターバル(水中) 心肺機能の強化・持久力向上 レースペースを維持する力がつく ダッシュ(水中) 瞬発力・スピード強化 スタートやターン後の加速力が上がる

ただ泳ぐだけでは速くなれない理由

多くの部活動では、決められたメニューを全員でこなすことに精一杯になりがちです。しかし「ただメニューを消化する」だけの泳ぎになってしまうと、悪いフォームを固める原因になりかねません。

水泳は陸上のスポーツと異なり、水の抵抗という大きな壁があります。筋力だけで強引に進もうとすれば抵抗が増え、逆に失速します。速くなるためには「いかに抵抗を減らすか」と「いかに効率よく水を捉えるか」を常に考えながら泳ぐ必要があります。

目的意識を持つことでトレーニング効果が変わる

同じ1時間の練習でも、目的意識がある選手とない選手では雲泥の差が生まれます。例えばキックの練習をする際に「脚を鍛える」と考えるか、「身体を浮かせて抵抗を減らすための姿勢を作る」と考えるかでは、意識するポイントが変わります。

練習前に「今日はターンの動作を素早くすることに集中する」など、小さな目標を一つ立ててみてください。具体的な課題を持つことで脳が活性化し、神経系への刺激が変わります。漫然と泳ぐ時間を減らし、一掻き一蹴りに意味を持たせることが上達への近道です。

自宅でもできる!水泳に直結する陸上トレーニング

水中でのパフォーマンスを上げるためには、陸上での身体作りが欠かせません。これを「ドライランドトレーニング」と呼びます。水の中では不安定な状態で力を発揮する必要があるため、陸上で正しい身体の使い方を覚えることが非常に効果的です。

推進力を生むための体幹トレーニング

水泳において最も重要なのは体幹です。体幹が弱いと泳いでいる最中に腰が反ったり落ちたりしてしまい、水の抵抗を大きく受けてしまいます。一直線の姿勢(ストリームライン)を維持するために、以下の「プランク」を実践してください。

基本のフロントプランク
1. うつ伏せになり、肘とつま先だけで身体を支えます。
2. 頭からかかとまでが一直線になるように意識します。
3. お腹に力を入れ、腰が反らないように注意して30秒キープします。

慣れてきたら時間を延ばすか、片足を上げるなど負荷を高めます。テレビを見ながらでもできるため、毎日の習慣にすることをおすすめします。

肩甲骨の可動域を広げるストレッチ

大きなストローク(腕のかき)を生み出すには、肩甲骨の柔軟性が必須です。肩甲骨周りが硬いと腕だけで水をかこうとしてしまい、肩の怪我につながる恐れがあります。

タオルを使ったストレッチが有効です。フェイスタオルを両手で広めに持ち、腕を伸ばしたまま頭の上を通って背中側へ回します。肘を曲げずに前後へ動かすことで、肩甲骨周りの筋肉をほぐせます。お風呂上がりなど身体が温まっている時に行うとより効果的です。

怪我を防ぐためのゴムチューブ活用法

インナーマッスル(深層筋肉)を鍛えるにはゴムチューブが最適です。特に肩のインナーマッスルは、水泳選手によくある「水泳肩」の予防に役立ちます。

柱などにチューブを固定し、肘を脇腹につけたまま、前腕だけを外側や内側に開く動作を繰り返します。大きな力を入れる必要はありません。地味な動きですが、関節を安定させ、長く泳ぎ続けるための土台を作ります。

部活の質を高める水中練習メニューの組み立て方

部活動でメニューが決まっている場合でも、意識すべきポイントや自主練習で取り入れるべき要素を知っておくと役立ちます。限られた時間で成果を出すための構成を解説します。

フォームを固めるドリル練習の重要性

ウォーミングアップの後は、すぐにハードな練習に入るのではなく「ドリル練習」を行います。ドリルとは、泳ぎの一部を分解して行う技術練習のことです。

例えばクロールなら「片手だけで泳ぐ(片手プル)」や「拳を握って泳ぐ(グー泳ぎ)」などがあります。片手プルは、かいていない側の手が下がらないように意識することで、体幹の安定と正しいストローク軌道を確認できます。速く泳ぐことよりも、丁寧な動きを心がけてください。

心肺機能を強化するインターバルトレーニング

一定の距離を、決められた休憩時間(サイクル)で繰り返す練習です。例えば「50メートルを1分サークルで10本」といった形です。50メートルを40秒で泳げば、20秒休めます。

この練習の肝は、後半苦しくなってからもフォームを崩さないことです。心拍数が上がった状態で泳ぎ続けることで心肺機能が強化され、レース後半の粘り強さが養われます。自分にとって「少しきつい」設定タイムを見つけることが大切です。

スピード感覚を養うダッシュとペース配分

練習の最後には、短い距離(25メートルや15メートル)での全力ダッシュを取り入れます。神経系を刺激し、トップスピードの感覚を身体に覚え込ませるためです。

長距離選手であっても、絶対的なスピードを高めることは重要です。ベースのスピードが上がれば、レースペースで泳ぐ際にも余裕が生まれます。ダッシュの際は呼吸を極力減らし、力強いキックとストロークに集中します。

トレーニングと同じくらい重要な食事と休息

激しい部活トレーニングを行っても、身体を作る材料が足りなければ筋肉はつきませんし、疲労も回復しません。練習以外の時間の使い方が、ライバルとの差を生みます。

練習直後に摂るべき栄養素とタイミング

トレーニング直後の30分以内は「ゴールデンタイム」と呼ばれ、栄養吸収率が非常に高まっています。このタイミングでタンパク質と糖質を摂取することが、疲労回復と筋肉修復の鍵です。

部活が終わったら、すぐにおにぎり(糖質)とプロテインやゆで卵(タンパク質)などを摂るように心がけます。帰宅してから夕食を食べるまでの「つなぎ」として、補食を用意しておくのが賢明です。

成長期のアスリートにとって、エネルギー不足は怪我や身長の伸び悩みにつながります。消費したカロリー分をしっかりと補給する必要があります。

パフォーマンスを下げないための睡眠と疲労回復

睡眠は最強のリカバリーツールです。睡眠中に分泌される成長ホルモンが、傷ついた筋肉を修復し強化します。特に試験期間などで睡眠時間が削られると、集中力が低下しフォームが乱れる原因になります。

最低でも7時間は睡眠を確保したいところです。寝る直前のスマートフォンの使用は睡眠の質を下げるため、就寝1時間前には手放し、ストレッチをしてリラックスする習慣をつけてください。

よくある疑問とトレーニングの注意点

ここで、水泳のトレーニングに関してよく寄せられる疑問について解説します。

Q. 筋トレをしすぎると体が重くなるのは本当ですか?

ボディビルダーのような肥大した筋肉をつけると、水の抵抗が増えたり柔軟性が失われたりして泳ぎにくくなる可能性はあります。しかし、自重を使ったトレーニングや体幹トレーニングであれば、むしろ水に浮きやすい身体になります。

水泳に必要なのは「使えない大きな筋肉」ではなく「しなやかで動ける筋肉」です。ストレッチとセットで行うことで、柔軟性を保ちながらパワーアップできます。

Q. スランプに陥ったときのメンタルケアはどうすればいいですか?

一生懸命練習しているのにタイムが出ない時期は誰にでもあります。焦って練習量を無理に増やすのは逆効果になりかねません。

まずは一度、タイムへの執着を手放し「泳ぎの感覚」に集中してみます。また、コーチや先輩に客観的なアドバイスを求めるのも有効です。自分では気づかない小さなフォームのズレが原因であることが多いためです。

Q. プロや上級者が実践している練習ノートとは?

速い選手の多くは「練習ノート」をつけています。その日のメニュー、タイム、身体の感覚、コーチからのアドバイスなどを記録します。

記録することで、調子が良かった時の感覚を再現しやすくなりますし、スランプの原因を過去の記録から探れます。「今日は調子が悪かった」で終わらせず、なぜ悪かったのかを文字にすることで、次の課題が明確になります。

今日からの積み重ねが数ヶ月後のベストタイムを作る

水泳のタイムを伸ばすためには、水中でのハードな練習だけでなく、陸上トレーニングでの身体作り、そして食事や睡眠といった生活習慣の改善が不可欠です。

いきなり全てを完璧にこなす必要はありません。まずは「お風呂上がりにストレッチをする」「練習後に必ずおにぎりを食べる」など、できることから一つずつ始めてみてください。日々の小さな積み重ねが、次の大会での自己ベスト更新という大きな成果につながります。

まずは今日の練習で、何か一つ「目的」を決めてプールに入ってみましょう。

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