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はじめに
高校や大学のバスケ部では、毎日の練習が「とにかくハード」になりがちです。しかし、常に同じ強度で練習を続けると疲労が蓄積し、ケガやスランプにつながってしまいます。そこで注目されているのが ピリオダイゼーション(期分けトレーニング) です。
これはもともとオリンピック競技のトレーニング理論として発展した考え方で、「1年をいくつかの期間に分け、それぞれの目的に合わせて練習内容を調整する」手法です。バスケのようにシーズンが長く、試合が多い競技にとって非常に有効な方法といえます。
ピリオダイゼーションの基本理論
期分けトレーニングは、次の3つのサイクルに基づいて組み立てられます。
- マクロサイクル(1年単位)
シーズン全体を見据えた年間計画。 - メゾサイクル(数週間~数か月単位)
大会や合宿に合わせた中期的な計画。 - ミクロサイクル(1週間単位)
日々の練習メニューを組む短期計画。
この3つをうまく組み合わせることで、選手は「疲労をコントロールしながら最大のパフォーマンスを発揮できる状態」を作り出すことが可能になります。
バスケのシーズンをどう区切るか
① プレシーズン(シーズン前)
4月~6月ごろにあたるこの時期は、基礎体力や筋力をつける期間です。特にジャンプ力やスプリント力を高めるために、ウエイトトレーニングや持久力強化を行います。
② インシーズン(シーズン中)
大会やリーグ戦が集中する7月以降は、疲労をためずに試合で力を発揮することが最優先です。練習強度はやや抑え、スキル練習やチーム戦術に重点を置きます。
③ ポストシーズン(シーズン後)
主要大会が終わった後の11月~2月頃はリカバリーの時期です。疲労をしっかり抜きつつ、自分の弱点を克服する練習を取り入れます。この時期にケガを治し、身体を整えておくことが翌シーズンの飛躍につながります。
各期におけるトレーニング内容
プレシーズン
- 筋力トレーニング(スクワット、デッドリフトなど基礎種目)
- 持久走やインターバル走でスタミナ構築
- アジリティドリルで反応速度を強化
👉 この時期にしっかり基礎体力を作ることで、インシーズンの練習や試合を乗り切れる土台ができます。
インシーズン
- 練習量は減らし、強度を維持
- スキル練習(ドリブル、シュート、パス)の精度向上
- コンディショニング重視(柔軟、アイシング、睡眠管理)
👉 「疲労を残さないこと」が最大のテーマです。
ポストシーズン
- 低強度のランニングやクロストレーニング(自転車や水泳)で回復促進
- フォーム改善や新しいスキル習得
- ケガのリハビリや身体のメンテナンス
1週間の練習サイクル例(高校バスケ部)
- 月曜:試合翌日 → リカバリー(ストレッチ・軽ジョグ)
- 火曜:スキル練習+筋力トレーニング
- 水曜:戦術練習(5対5)+コンディショニング
- 木曜:シューティング集中練習+敏捷性ドリル
- 金曜:ゲーム形式の実戦練習
- 土曜:公式戦または紅白戦
- 日曜:休養(完全オフまたはアクティブリカバリー)
このように「強い日」と「軽い日」をバランスよく組み合わせることで、パフォーマンスを最大化できます。
注意点と失敗しやすいポイント
- 休養を軽視する
休まないと成長しない。回復はトレーニングの一部です。 - シーズンに合わないメニューをする
試合前に過度な筋力トレーニングを入れると疲労で動けなくなります。 - 個人差を無視する
成長期の高校生は疲労の溜まり方に差があります。全員一律にせず、柔軟に調整することが必要です。
まとめ
ピリオダイゼーションは、ただ「練習量を減らす」のではなく、「適切な時期に適切な練習を行う」ための理論です。
バスケのようにシーズンが長い競技では、期分けを取り入れることでケガを防ぎ、試合でベストパフォーマンスを発揮できる選手に成長できます。
日々の練習に取り入れるときは、監督やコーチと相談しながら少しずつ導入してみてください。